「転職って、やっぱり不安じゃなかったですか?」
そう聞かれるたびに、少し迷う。
正直に言えば、不安はあった。すごく、あった。
でも、その不安とちゃんと向き合って、そして乗り越えたからこそ、今の自分がある。
今回は、その過程を正直に書いてみたい。
このままでいいのか?と、毎日思っていた
前職は大手企業で、管理職だった。10年以上勤めた。
同期の中で一番早く昇進し、営業としては最年少で管理職になった。
待遇も悪くなかったし、他人から見れば“順調なキャリア”だったと思う。
でも、気持ちはまったく落ち着いていなかった。
むしろ、出世すればするほど「このままでいいのか?」という違和感は大きくなっていった。
実は、もっと早く転職したいと思っていた。
けれど、条件やタイミングを言い訳にどうしても踏み出せなかった。
そうやって自分に言い訳をしながらやり過ごす日々が、気づけば数年続いていた。
前職では、ある程度周りにも認められ、仕事のやり方もわかってきた中で、何をすればどうなるのか?先が見えるようにもなってきていた。
定年までこの調子か?と考えたとき、「それは嫌だけど…」と心の中で呟いていた。
そんな中、第一子が生まれた。
それをきっかけに、「自分はどんな父親でありたいのか」を考えるようになった。
子どもに対して、背中で語れる父でいたい。
自分の人生を、自分で選んでいる姿を見せたい。
そう思えば思うほど、「本当にやりたい仕事」に向き合わずにいる自分が、ますます苦しくなっていった。
転職して、年収が3分の1になった
30代中盤という年齢的にも、ここで転職できないともう一生このまま勤め続けるしかない。そう思うと、最終的に転職しないと選択をするにしても、一度はチャレンジしよう!と腹を決めた。
出会ったのは地方創生に取り組むスタートアップ。
「これまでの経験が活きるはず。営業マネージャーとして活躍して欲しい。」と言ってくれた。
自分もそう思った。(これは後に自信過剰な思い込みだったことが判明する。)
収入は、これまでの3分の1。ボーナスもない。家賃補助も消えた。
数字で見れば、リスクしかなかった。
でも、それでも踏み切れたのは、生活を守る“仕組み”ができていたからだった。
安心の下地は、少しずつ作っていた
バリバリ働いていた中で、ロバート・キヨサキの『キャッシュフロークワドラント』を友人から進められて読んだ。“B(ビジネスオーナー)やI(投資家)にならなければ、人生は変わらない”という言葉に打たれた。
そこから、橘玲の『黄金の羽根の拾い方』『幸福の資本論』などを読んで、「経済資本」「人的資本」「社会資本」の重要性を意識するようになった。
そして、2018年にインデックス投資を始めた。
最初は「とりあえず財形貯蓄してる分を少し突っ込んでみるか」くらいの軽い気持ちだった。
資本主義の成長を信じて、市場全体にまるっと投資する。
家計も整えた。
保険を見直し、通信費を抑え、ふるさと納税で支出を最適化。
これが、2023年の転職時の“安心材料”になった。
お金があるから飛び出せたんじゃない。
動ける状態に整えていたから、飛び出せた。
減給された。自信もなくした。それでも、戻りたいとは思わなかった
転職して数ヶ月。全く結果が出ない。思うように数字も出なければ、チームに貢献している実感も持てない。
周囲の期待も、自分の理想も、結果に追いつかなかった。
そして、半年で減給が決まった。
自分の実力不足が明らかになった瞬間だった。
恥ずかしかった。悔しかった。でも、それでも、戻りたいとは思わなかった。
なぜか。
自分で決めて、自分で動いて、自分で悔しがれるから
大企業にいたときは、「こうしたい」と思っても動けなかった。
いや、そもそも本当の意味で「こうしたい」、「変えたい」と考えられていなかった、と今なら分かる。
今は違う。
やるのも自分、決めるのも自分、失敗して謝るのも自分。
それはしんどい。だけど、やっぱり楽しい。
何より、自分の人生を“自分で運転している”実感がある。
お金の不安は、家計と投資で最小限にできる。
でも、仕事の不安は、動いて、失敗して、噛みしめて、少しずつ乗り越えていくしかない。
その土台を作ってくれたのが、インデックスによる資産形成だった。
幸い減給から半年、何とか結果がついてきて入社時の給与水準に戻り、さらに1年かけてマネジメント層への昇格と多少の給与UPも実現できた。
インデックス投資の土台がなければ、減給時点で元の職場に出戻りし、復職後1年ぐらいで職場の愚痴を言うだけのおじさんになってしまっていたかもしれない。
だから今も、積立投資を継続中
インデックス投資を続ける理由は、「老後のため」だけじゃない。
未来の選択肢を増やすために、自分でできる行動を積み上げる。
それが、転職という大きな一歩に繋がった。
人生は一気に変わらない。
でも、毎月同じ日に、同じ金額を積み立てるという小さな行動が、
やがて「今、動ける自分」になる。
だから今も、積み立てる。不安に負けない自分でいるために。
未来の選択肢を増やすための書籍
家族がいて、こどももいて、将来に不安があって、自分がどこまで通用するかわからない。
人生は不安でいっぱいだけど、それでも挑戦したいと思った時。
その時に挑戦という選択肢を選べる自分でいるための3冊。
独立やビジネスオーナーを目指す人が多いと思うが、私はこの本で人生の主導権を自分で握ることの大切さを教わった。
少し遠回りだけど、現代ポートフォリオ理論という考え方、短期投資はギャンブルと言う考え方をインストールできた。
幸せになるための3つの「資本」の話をしながら、最後には「ほんとうの自分」はどこにいる?という問いで締める、普遍的な問いに答える良書。